旧友 イタリア 幽霊

大宮新都心の改札で 中学時代の旧友 寅子と十数年ぶりに会いました。
ロイヤルホストは女性客で満杯で90分規制のなかで おしゃべり.......
そのあと プロントへ。

寅子はチワワ...名前忘れた...とふたり暮らし 新都心から田園地帯に越
すのだという。それはとてもいいことだと思う。このさき なにが起きるか
わからない。女ひとりだとしたら 都会より田舎 タワーマンションより
地面に生えた家の方が安心だ。

旧浦和市 本太中学校 それが私たちの母校だった。担任は
開襟の純白のブラウス 黒のロンタイ 太めの皮のベルトでウェストを
きゅっと締めた大学出たてのS先生

あるとき 先生は 真四角の板のゴミ箱のなかに食パンのミミを見つけ
わたしたち中学生に 紅涙ふりしぼる説教をなさった。

戦時中のごちそうは パンのミミに砂糖をつけて食べることだった ......
なぜ あなたたちは 食べ物を 粗末にするのか

微妙なきまづい空気が教室に充満した.... みんな感動? いや白けたの
である。先生 それは 持って行き方がちがう とわたしは 思ったが
どう ことばにすればいいのかわからなかった。

さて 寅子とワタシは 後年 イタリア旅行をともにした。7泊10日
くらいの安い旅で サンジミアーノの修道院に一泊したのだが ......出た
のである。 重ーい 黒ーい 凝縮したかたまりが 天井から帳のように
降りてくる。カーテンが微かに揺れている.....
わたしは 日本の旅館やホテルでも 霊に遭遇したが 西洋の霊は別格
なのだ。重力が変わる 温度が下がる 粟立つような 恐怖感が身の内
から 湧き上がる

ワタシは まくらと毛布を引きずって 寅子の部屋に逃げ込んだ。