18番 紫蘇のかおり
わたしの18番(オハコ)といえば 『雪女』とか 『トマト』だが 今日の18番はラーメン屋さんの名称 最後に行ったのはおそらく十数年前..........ドアをあけて 一瞬ひるんだ。テーブルの上にでかでかと 『黙食』と書いてある。時代錯誤じゃないの と思ったが 席についた。但し書きがあった。「大声でさわがないでください。会話を楽しみたい方はほかにいってください。」いろいろな店があるものである。職人気質のご主人と世話好きなおばさんはもういなくて 店主は二代目になっていた。
お味は...というと おいしいのだけれど ぼんやりした味になった気がした。二代目さんのラーメンが口にあうひともいるだろう だがわたしはこの店のラーメンの ほのかな紫蘇の香りが好きだった。あとできづいたのだが あれは紫蘇ではなくて えごま油の香りだった ほかでつかっているのを あじわったことのない 品のいい隠し味だった。わたしはとても 懐かしくなった 今より世の中が雑然とし活気があったあの頃 夫が元気で生きていて 子どもたちと毎日 わぁわぁと喧々諤々と過ごしていたあの頃....... そして 今はといえば 混沌 カオス 明日は何が起きるかわからない 一年後はどうなっているか見当もつかない。ギョウザが食べられるかもわからない。
こんな時代 変わらずゆるぎなく在るものは どんなものであっても貴重である。ぎょうざは マジで 美味しかった。昔の味だった。