櫻の神
昔 日本では花といえば 梅のことだったそうです。おとなりの中国の国花は 牡丹と梅ですね。今の日本は桜と菊が 国花です。桜と言えばソメイヨシノですが 江戸時代にオオシマザクラとエドコヒガンザクラを交配してつくられ 現在咲いているソメイヨシノは すべてクローンなのだそうです。
江戸染井村でつくられたこと 吉野山が桜で有名なことから 西行法師が吉野の櫻を愛でたことから 染井吉野と名付けられたそうです。ソメイヨシノの花つきが良いのは植えて20年から30年 若木から成長するのも早いけれど老木になるのも早いとか なにとなく身につまされるはなしですね。
桜にまつわる和歌といえば 思いだすのは....
世の中に たえて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし 在原業平
ひさかたの 光のどけき 春の日に しづ心なく 花の散るらむ 紀 友則
近代では.....
清水へ 祇園をよぎる 桜月夜 今宵逢ふ人 みなうつくしき 与謝野晶子
ちる花は かずかぎりなし ことごとく 光をひきて 谷にゆくかも 上田みよじ
桜咲くころ 感情は 静かならず 亡き人亡き犬亡き小鳥たち 馬場あき子
そうですね 櫻の頃は ふしぎと 永遠の訣れが ありますね
あの世に逝かれたのが桜の季節でなくても 思いだす
櫻井先生 かつての恋人 それから 母も 父も
ところで 瀬織津姫を ごぞんじでしょうか 櫻の神 川の神 瀧の神 穢れを祓う神
アマテルクニテルヒコニギハヤヒノミコト(日神) の 妃神 (水神)といわれています。
さて 6年前のことです。友人がクモ膜下で倒れ わたしは 友の寿命が尽きることを察知しました。
最後にどうしても 会いたくて やったことのないことを することにしました。
意識を 友のもとに飛ばすのです 4月7日 日曜日の昼下がり リビングで
........ 乳白色の霧がたちこめていました。川が流れています 向こう岸に ずぅーっと 櫻の木が
つづいています 川の流れに沿って 霧に霞んでいます
そのとき 聲が しました 『ようこちゃん さようなら』
わたしは 手を伸ばし 泣きながら 『いかないで いかないで』と 声をあげました
翌日 4月7日に亡くなったと 報せが届きました。
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もちろん もっとも こころに残る 和歌は .....
願わくば 花の下にて 春死なむ その如月の 望月の頃 西行法師