キャシーとリン
今まで であった ストーリーテラーのうち もっとも ミラクルだったのは キャシー・宮田でした。キャシーはカナダ・インディアンの血もひくカナダ人 夫なるひとは日本人でした。カナダは多国籍国家です。それらの文化もことばも異なる子どもたちを教育するために考えられたのが ラーニング スルー ジ アート『LTTA』 でした。LTTAとは アート 芸術を通して 主要教科を教えるという 試みです。
たとえば 音楽を用いて地理を 芝居をとおして数学を といった具合に..... キャシーはストーリーテラー リンは画家でした。ふたりはLTTAを日本にひろめるためにきたのですが 当時の日本は民主党政権下にあり なぜかなぜか 民主党政権は 移民が今後激増することを視野に入れて教育を考えていた節があります。
わたしは ふたりの講座を受け LTTA初級ファシリテーターの資格を得ました。そのあともキャシーに魅せられ あちこちでひらかれるワークショップの追っかけをしました。キャシーのストーリーテリングで忘れられないのが インディアンの創世神話 海ネズミのマスクリートのおはなしです。わたしはこのお話が忘れられず『空と海と大地の話』として 毎年幾度か 語っています。櫻井先生はたしか『海のおひめさま』という タイトルで語られたと思います。
キャシーからいただいたのは そのものがたりだけではありませんでした。ストーリーテラーはもろ手をひろげすべてを差し出すのだ、そして受け取るのだということ またすべてのものがたりは参加型(聴き手に参加してもらう)になりえるということ ストーリーテリングに言語は関係ないのだということ を学びました。
リンさんは 『あなたは深い井戸を持っている そこから水を汲みだしてひとびとに与えるのです』とはげましてくれました。キャシーは 『カナダにきて学びなさい わたしの家に止まりなさい』と言ってくれ心は動いたのですが 仕事と家庭をかかえ それはかなわぬ夢でした。
けれども ふたりから うけた ワクワクするような歓び ものがたりはそこらじゅうにある あらゆるものが手だてとなる ストーリーテリングは 魔法の杖になる ..... はわたしのなかの井戸の汲めども尽きせぬ源泉となっております。

左がキャシー 右がラン